• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【G@lileo】音色の方程式

第14章 『応答る』




 突然、
 スマートフォンが震えた。


 「…………」


 画面には『湯川 学』の文字が。


 「え」


 先生から電話だ。
 慌てて通話ボタンを押す。


 「もしもし?」

 『ああ』

 「……先生?」

 『そうだ』

 「どうしたんですか?」

 『説明しにくい』

 「何が?」

 『さっきの話だ』

 「…………」


 文字じゃない先生の声。
 いつも、大学で聞いている声。

 でも、夜に自分の部屋で、
 耳元から聞こえる。

 それだけで妙に違って聞こえた。


 『聞いているか?』

 「あ、はい」

 『猫を嫌いではないという意味と』

 「はい」

 『君を嫌いではないという意味は、同じではない』

 「…………」


 心臓がまた大きく鳴った。


 「それって……」

 『何だ?』

 「…………」


 聞けない。


 「なんでもないです」

 『またそれか』

 「先生も言うじゃないですか」

 『そうだな』


 少し笑ったような気がした。


 「…………」


 耳が熱い。


 「先生」

 『何だ?』

 「もう帰るんですか?」

 『今から帰る』

 「遅いですよ」

 『分かっている』

 「ちゃんと何か食べてくださいね」

 『君も早く寝ろ』

 「今日は七時間寝ます」

 『最低でもそれくらいは寝た方がいい』

 「先生こそ」

 『僕は問題ない』

 「絶対そう言う」

 『事実だ』


 笑う。
 それからどちらからともなく、
 少し話した。

 大学や研究、フルートのこと、
 さっきまでのメッセージと、
 ほとんど同じ。

 でも、
 声だと少し違う。

 言葉が途切れても、
 電話の向こうには先生がいる。





/ 149ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp