第2章 『泡沫の君に永遠の青を』 五条悟
「ちょっと待ってください五条さん! 急に討伐対象を連れ帰ってくるだなんて……上層部になんと報告すれば!」
言い争う二人を横目に、胃を痛めた補助監督が抗議の声を上げた。
「あー? 上層部なんて適当にあしらっとけよ。こいつに敵意なんかねぇし、あの嵐も意図したもんじゃねぇんだからさ」
五条はめんどくさそうにひらひらと手を振ると、彼女から聞き出した真実——迫害された過去や、父親の事故死。
そして青年の事故や母の死の真相。
そして制御できずに暴走した術式のことを手短に説明した。
「要は力の使い方を知らねぇだけ。高専で教育すりゃあ、立派な術師として戦力になると思うぜ」
不器用ながらも彼女を庇う五条の言葉に、補助監督は「ですが……」と食い下がろうとするものの、五条の圧に押し切られ最後は深いため息をついた。
「ハァ……分かりました。ですが、くれぐれも問題を起こさないでくださいね……」
納得しきれない様子ながらも、疲れ果てた補助監督は「おやすみなさい」と一礼し、彼女を休ませるために共に隣の部屋へと連れて行った。
静かになった部屋で、二人を見送った五条は満足そうに口角を上げた。
「これで一件落着な☆」
「……どこが……。きみの強引さには毎度本当にヒヤヒヤさせられるよ」
夏油は呆れたように肩をすくめたものの、その表情には穏やかな安堵の色が浮かんでいた。
最悪の結末——少女を祓除する道を回避し、誰も傷つかずに解決できたのだから。
「ま、結果オーライだろ。明日の朝一番で島を出るぞー!」
「まぁ、そうだね」
高専に新しい風が吹くことを予感しながら、ふたりの夜は更けていった。