第1章 本能寺の変
裏切り者と、…そう呼ばれてもいい…
殿に勝ちたかったのか…それとも恨みが忠義を超えてしまったのか…
ただ素直になる心に目を背けているのか…?
本当に殿を憎いのか…
もう自分の心すら解らない…
本能寺を目の前にして私が連れてきた一万三千の軍勢で本能寺を囲む…
「殿、どうか御進発を!!」
「……」
「殿!!」
光秀は…一度だけ目を伏せた…
自問自答をするのでもなく…迷うためでもなく…
一つ息を吐けば…右手を挙げた。
「全軍……懸かれ」
明け方のまだ薄暗い中…その声が酷く冷たく落ちた。