第7章 再び〜
新緑が眩しい
数日前から朝の習慣を復活させた
湿気を含まない風が気持ちいい
明日から北関東の旅館取材が始まる
荷造りをして足りないモノを買いに出た
ついでにランチしてこよう
エントランスを出ると高そうな白い車が停まっている
なんか…スゴイ圧を感じるわ…
「〇〇さんさん」
どこから呼ばれたのかわからなくて周囲を見回した
車のドアが開き、着物姿の女性が降り立った
どこかでお見かけしたような気もするけれど?
はい?と返事を返す
「突然の訪問、失礼致します」
丁寧に頭を下げる
「わたくし、五条悟の元妻で☆☆と申します」
あなたが…とまじまじと見つめてくる
「は〜」
曖昧な返事をしてしまった…悟の奥さん⁈“元”妻?
「わたくし達、先月離婚が成立いたしまして…もちろん円満離婚ですよ?」と可愛らしく笑う
「もし、悟さんが訪ねてきて、あなたに受け入れるお気持ちがおありなら是非受け入れてあげてください。わたくしや子ども達に気兼ねする必要は微塵もありません。彼には心から支えてくださる方が必要です」話は以上だとお辞儀をして車に乗る
「あっあの、一体どうゆうことで?」
「わたくし達は円満に離婚しました。ようやく第二の人生が始められます。わたくし、悟さんに感謝しているんですよ?」可愛らしい笑顔で去っていかれた
なに⁈
なにが起こってるの⁈
離婚…円満離婚です⁈
悟が来たら受け入れてやれ⁈
自分や子どものことは気にするな⁈
支えが必要だから⁈
しばらく車が走り去ったあとを見つめていた
放心状態で商店街に着き
商店街のざわめきで自分を取り戻す
あれ?なにしに来たんだっけ?
お昼、ランチ食べるんだった……
頭が回らなくて目についたファストフード店に入る
フライドポテト1本食べるのに何分もかける
“元”奥さまの言葉が何度もリピートして壊れたロボットのようになる
我にかえると10分も経っている…
冷えてしなしなになったポテトとハンバーガー、氷が半分溶けたドリンク
ボソボソの固形物をうっすいドリンクで流し込む
思考停止のままエレベーターの12階ボタンを押す
モーター音をたてて昇り始めて気がつく
買い物……戻る?
いやいや今そんな気力はない、一旦、帰ろう
リビングで倒れ込む…
なんだったの?この時間…
明日から旅館取材なのにぃぃぃ