第5章 別れ〜
エントランスからの呼び出し
応答すると五条悟様からのご依頼で伺いましたとスーツ姿の中年男性が立っていた
どうぞと返答しオートロックを解除する
肩にぎゅっと力が入る
なんだろう………
「ピンポーン」
扉を開けると朝からすみませんと謝罪してから弁護士事務所から来たと名刺を渡される。
胸にバッジもつけている
改めて五条悟様からのご依頼で伺いましたと告げてくる
大切なお話のようなので上がっていただく
自分を落ち着かせるためにもコーヒーを淹れ、弁護士さんにお出しする
「ありがとうございます。
早速ですが、「〇〇〇〇〇〇」さんでお間違えありませんか?」
「はい」
立派なカバンから大きな封筒を取り出し、中身を広げる
要件は
五条悟氏と「〇〇〇〇〇〇」さんの間で交わされた契約の件
期限満了につき終了とさせていただく
こちらは口約束だったとの事だが間違いないか
契約満了とこれまでの労に対し深謝と以下のものを贈呈する
五条悟氏所有のこのマンションの権利一切
今後、五条悟氏の生死に関わらず「〇〇〇〇〇〇」さんが没するまでの間、1年あたり金1000万也、上記の2点のものを贈呈する
上記の執行、手続き等の一切は当弁護士事務所が担当し、「〇〇〇〇〇〇」さんの負担となることは排除する
この申し出を受けるのであれば署名、捺印をとの事だった
「それと五条悟様からの別途お手紙をお預かりしております」
胸ポケットに仕舞われたそれを丁寧に書類の上に重ねた
「突然の訪問や申し出に戸惑われていらっしゃるとお察しします。返答期限は1週間、設けさせていただきました。それまでに名刺に記載してあります携帯電話にご連絡ください。差し支えなければ〇〇さんの携帯番号を伺ってもよろしいですか?」
優しくて落ち着いたトーンで話してくれた
相談したいことがあれば守秘義務で守られますので安心してご相談くださいと付け加えてくれる
丁寧に頭を下げ扉が閉まる
深いため息が出る
提示された書類を前に思考が進まない……
手紙を開けることもできない……
下腹部がずっしりと重たい
こんな時に鈍った勘がまた反応する