第14章 滴る
宇髄がニヤついた顔で名前の顔を覗き込み、不死川が俺の頭を小突いた。
不死川と伊黒は俺を小突きすぎだと思う。
佐竹に視線をやると、眉間に皺を寄せ、不快の感情を露わにしていた。
「いやー、独占欲丸出しはみっともないですって、義勇くん。苗字ちゃんより年下らしいけど、もう少し余裕あったほうがいいですよ。」
「……仕事に関わる為強く断れないのを良い事に嫌がってる女に必死にアプローチを続けるほうが俺はみっともないと思うが」
ピシリッ、と空気に亀裂が入った音がした。
地雷、というやつだっただろうか。
「…………」
しばらくの沈黙。
名前は困ったように俺を見上げている。
可愛い。口付けたい。
そんなことを考えていたら、不死川が佐竹に近づいた。
小突くつもりだろうか。
「佐竹さんよォ、俺も冨岡がみっともねぇのは認める」
不死川…
俺はお前の同僚なのに…
あと佐竹がお前の見た目の怖さに慄いてるぞ。
「たが冨岡の言うことも正しい。嫌がる女をしつこく口説くのはやめたってくれや。名前さんは、俺達の友人でもあるからなァ」
「いや、嫌がってたなんて…」
「気づいてただろ。あんた、そう言うのには聡そうだ。なんとなくだがなァ」
「そーそー、名前ちゃんも冨岡もお互いゾッコンだから、派手に諦めなぁ」
佐竹はじっと名前を見つめる。
やめろ。
俺の名前を見るな。
「佐竹さん、次からはもっと普通に接して欲しいです…」
名前がそう言うと、佐竹はさらに顔を歪めた。
気持ちはわかる。
もし俺がそんな事言われたら立ち直れない…。
「酷なこと言うねぇ、苗字ちゃん…まぁ、今は負けが確定してるから、しばらく大人しくするよ。義勇くんにも会えたし、今日はお暇させていただきます。じゃあね。」
そういって引いていたロードバイクに跨り、佐竹は去っていった。
「…はぁ〜っ、みなさん、ありがとうございましたぁっ」
名前が、やっと開放されたと言わんばかりに体の力を抜いた。
抱きしめていると、体の動きがよくわかる。
「で、なんでこんなことになってんのよ、名前ちゃん」
「実はですね…」
名前から事の経緯を聞く。