• テキストサイズ

すいめいのひと

第11章 漣



義勇くんの夢をみた。

夢の中の義勇くんは、何かを耐えるような…とても辛そうな顔をしていたから、この人が普段抱えている大きな劣等感をほんの少しでも、一時でも取り除いてあげたくて、泣いている小さな子をあやすように彼を抱きしめた。
そんな夢。


*****


ふんわりとした意識の中で最初に感じたのは、体の不快感だった。

暑い…
汗が気持ち悪い…

「…ぁっつ…ん〜…」

まだ半分寝ている状態の私は目を閉じたまま、汗でベタついた自分の服を脱いだ。
下のスカートも体のだるさと重さに手こずりながらなんとか脱ぎ捨てた。

手に触れた掛け布団を手繰り寄せ、抱き込み、深く息を吸う。
ティーツリーやユーカリを思わせるような澄んだ香りがして、気分が少し良くなった。

……私、こんな布団持ってたっけ…

柔らかい布団の肌触りを堪能しながらしばらく微睡んでいると

ガタンッ

と、何かがぶつかる音がして、それをきっかけに意識がだんだんとハッキリとしてきた。
ゆっくりと目を開ける。

最初に目に入ったのは抱きしめてた布団。
私の布団じゃない。

次に目についたのは床。
……私の家の床じゃ、ない。

混乱しつつあたりを見回すと、部屋のドアの前に、硬い表情をした義勇くんがいた。

え?義勇くん?

「……」

「……」

昨日の出来事が頭の中で一気に甦り、
状況を理解したとたん、今度は冷や汗が出てきた

もしかしてここは推しの家…?!

「…っぁ」

謝罪の言葉を言おうと身を起こしたら

「違うっ、俺じゃないっ…」

義勇くんが後退りながら全力で首を横にふった。

……何が???

「神に誓って、俺はやってない…!!」

顔が真っ青だ。
…もしかしたら彼は、私が彼に手を出されたと勘違いしている、と思っているのだろうか。

「あの、大丈夫!わかってますから、落ち着いて」

そう言うと、一瞬安堵の表情を浮かべたが、今度はみるみるうちに彼の顔が赤く染まっていく。

え、かわいい

「義勇くん、大丈夫?」

心の中で悶えつつ、様子がおかしいので心配になり、立ち上がり近づく。

「だっ…大丈夫じゃない…」

「大丈夫じゃない?!」

「……っ服を…着てくれ…」

頼むから、と彼は自分の手で顔を覆った。

「ふく…」

そうだ、私、さっき寝ぼけてた時に服を脱いだ気がする…

/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp