第9章 飛沫
「ここか…」
仕事が終わってすぐ、貰った天元さんの電話番号に連絡したら飲み会の場所を教えてもらい、そのお店についた。
扉を開け、店員さんに待ち合わせであることを告げ席に案内してもらう。
「失礼しまーす」
「お、きたきた」
「名前さんきてくれたのね!」
「カナエさん!お邪魔します!」
「嬉しいわぁ」
カナエさんのところに駆け寄り、手を握り合う。
あぁ、今日も美人だ…良い匂いもするぅ〜
「名前さんの席はここよ、冨岡くんの横」
推しの横?!
いいんですか!?
カナエさんは斜め前の席を指差した。
確かにその席の横には、義勇くんが座ってた。
こちらを見て目を見開きながら固まっている義勇くんが。
…この様子だと義勇くん、私がくること知らされてない…??
「義勇くん、こんばんは」
指さされた席に移動し、着席すると同時に義勇くんに挨拶をする。
いつもおはようございますだから、なんだか変な感じだ。
「……なぜいるんだ」
あ、やっぱり知らなかったんだ。
「もう、冨岡くん、そんな言い方したら来てほしくなかったみたいじゃない」
「!…いや、来てほしくなかったわけではない…本当だっ…」
「ふふ、わかってますよ。今朝、天元さんにお誘いいただいたんです」
わたわたしながら、誤解を解こうと私に話しかける義勇くん。
あぁ〜かわいぃ〜たまんねぇ〜
「不死川さんも、今朝ぶりです」
「おー」
反対側の隣は不死川さん、そして向かいには天元さんが座っていた。
「どーだ冨岡、派手にサプライズだ!」
「………本当に驚いた」
「地味な感想だなおい」
呆れた様子で天元さんが言い捨て、義勇くんは平然とした顔で何かを食べ始めた。
そのやりとりが面白くてつい笑ってしまう。
「おい、あんたは何飲むんだァ」
「お、ありがとうございます」
スッと、不死川さんがメニューを差し出してくれた。
やはりこの男、面倒見がいいな…
受け取ったメニューを見て、飲み物を選ぶ。
お酒はあまり強くない。
むしろ弱い方なので、飲みやすいサングリアを選んで店員さんを呼ぼうとしたら、先に不死川さんが呼んでくれ、頼んでくれた。
こいつ…スパダリかよ…
スパダリなら今朝の写真も撮ってくれたらよかったじゃん…くそ!