第7章 雫
この勢いのまま、聞いてしまおう。
「……義勇くんって呼んでも、いいですか?」
義勇さんが軽く目を見開く。
勢いのまま欲丸出しで聞いてしまった。
だってやっぱり"さん"より"くん"って感じなんだもの!
どうせ呼ぶならそっちがいい!!!
「ぁ、あの、嫌だったら全然断ってください!変なこと言ってごめんなさい!!」
「…かまわない」
「え!?いいんですか?!」
「あぁ」
ひゃっほぉおおおお!
推しの呼び名、ゲットだぜ!!
「俺も、名前さんと呼んでいいだろうか…」
「もちろんですむしろありがとうございます!!」
再びきた推しの名前呼びに天を仰ぎながらお礼を言う。
この人はほんと顔と同じくらい声もいいから…たまんねぇな
この感じだと、カナエさんが言ってたことは本当だったのかな。
そうだとしたら嬉しいな。
「改めて…よろしくたのむ」
スッと、義勇くんが手を差し出す。
こ、これは…もしかして握手を求められてる?
え?握手会???
「こちらこそ〜」
そっと握り返すと、義勇くんがさらにぎゅっと力を込めた
あ、死ぬ…尊死…
「道中、気をつけていけ」
「はい、義勇くんもお仕事頑張ってください」
手を離し、義勇くんと別れふらふらした足取りで向かう。
推しの手…男の人特有の、硬い掌…握られた…
あああああああ
この日私は、一生手を洗わなくていい方法を1日中割と真剣に考えた。