第2章 my LazyGirl
ベッドサイドの窓から差し込む朝の光の中で、目が覚めた。
頭が重い。口の中が、酷く苦かった。
枕に顔を埋めると、鼻腔を突くのは自分の香水でも、あいつ自身の匂いでもない。
あいつの吸っている紙巻きタバコの匂い。
「……最悪」
掠れた声で呟いて、シーツから腕を引っ張り出す。
床に散らばった服のポケットから、自分の充電式電子タバコが覗いていた。
匂いも汚れもつかなくて、後腐れない煙草。
付き合っていた頃、あいつに「部屋が臭くなるから紙巻きやめろ」と説教した手前、別れてから買い直したやつ。
なのに、昨夜も俺はこれを一度も吸わなかった。
あいつの箱から勝手に抜き取って、
あいつのタバコの先から火を貰って、あいつの匂いで肺を満たした。
カーテンの隙間から差し込む光の先で、
あいつがベッドの端に腰掛け、
背中を向けたまま大きく伸びをしている姿が見えた。
昨夜あれだけ身体を重ねた余韻なんて少しも残っていない。
『あんた、マジ面倒くさいね。振られて正解だったわ』
昨夜のあいつの冷めた声。
悔しくて、惨めで、意地になって、
昨夜はあいつの口を塞ぐみたいに何度も抱いた。
俺の存在をその身体に刻みつけてやりたくて。
それなのに。