第1章 なし
乗り出し気味の身体を引っ込めては下を向く。
髪がそのまま上半身に流れて下を向いたの顔を隠した。
リョーマは少しの間窓に寄りかかったままそれを見ていた。
下を向いたままの彼女を。
なんでこの人はいつも聞くわけ?
俺は別に変わってないのに
そう思いながら彼女を見ていた。
小刻みに揺れてるような震えてるようなの上半身を見つめながらリョーマは体勢を変える。
右膝を立てて右手で頬をつきながら
「…だから」
リョーマからの言葉を待っていたのであろうその声に反応しは顔を上げ目の前のリョーマを見た。
しばらく目を合わせたままリョーマは言おうとしていることを少し整理していた。こういうの慣れてないとでも言わんばかりに。
そして意を決したように足をあぐらに戻し小さく息を吸い込んだ。
「俺は そんなふうに好きとか嫌いとかいるとかいないとか 毎回天秤にかけてない」
「毎回 変わってないか確認してるのはアンタの方だろ」
は瞬きもせずにそれを聞いていた。
口を小さく開けてリョーマを見ている。
今度はの方がそれを頭の中で整理しているような感じだ。
「…わかった?」
リョーマはもう一度膝を立て頬杖をつきながら少し照れくさそうにそれでもから目を逸らさずに聞く。
「わかった」
驚くほどは素直に言った。
いつもはリョーマが言わなくてもわかるだろとかじゃなきゃこうしてない等と言っても引き下がらずそれじゃわかんないよ!ちゃんと言って!と喚いてきたが。
はリョーマの肩に手を回しそのまま顔を埋める。回した手に少し力を入れたところでリョーマはゆっくりの背中に右手を伸ばした。
顔を埋めたままのが呟く。
「リョーマくん 大好きだよ」
リョーマは左手も伸ばしてを抱き寄せようともしたがその手を引いて言った。
「…知ってる」
それはまた、いつものリョーマの返事だった。