第4章 強かな婚約者
悟が昴の胸ぐらを離すと、すぐに昴は力無く床に倒れた。
(……生きているよね……。)
異変に気が付いたメイド達から悲鳴の様な声が聞こえた。
それ位その惨状は酷かった。
身動き1つ取れない昴を見て、椿の鼓動が激しく音を出す。
「……椿……。」
静かに低い声で、悟が椿の名前を呼んだ。
椿は昴から目線を外して悟を見上げた。
ゾッとする程冷たい悟の目に、椿の背中に悪寒が走った。
「この犬っころ殺してもいいよね。」
イカれた自分よりも更に。
目の前の男がイカれている事に初めて気が付いた。
そんな悟の表情は、夢でも現実でも見た事が無かった。