第4章 強かな婚約者
それでも重たい腰を浮かせたのは。
この不毛なやり取りを終わらせたいからだ。
考え悩むより、結婚した方が楽な気がして来た。
椿はそのままで良いと言っているし。
なんなら縋ってくる椿を見れるのだから。
そう考えて、悟はやっと椿に会う事にした。
「椿ちゃんは相変わらず塩対応やね。」
その日は禪院直哉が椿の執務室を訪ねて来た。
直哉とは現実では極力会わない様にしているが、やはり接点は出来てしまう。
今日も何の約束も無くフラッと直哉は椿の前に現れた。
椿はチラッと一緒に部屋の中にいる昴を見た。
昴が居るからと、一生懸命に平常心を保とうとする。
顔色を変えない様にしているが、本当は耳鳴りがするほど胸が鳴っていた。
心なしか息苦しさも感じる。
ニコニコ自分を見てくる直哉に、椿は思わず目を逸らした。
直哉の笑顔は夢と同じだった。