第4章 強かな婚約者
「全然無理。興奮しないね。」
そう言って悟は女を残してマンションの中に入って行く。
今までお互いの為に気分良く関係を持っていた悟から、この様に扱われて戸惑った女はしばらくその場に居た。
だけど悟はそんな事すら無視して自分の部屋に入って行った。
今日は誰にも触れたく無かった。
部屋に入った悟はリビングのソファに深く座った。
初めて椿に触れた。
自分の婚約者と知っていても、敢えて無視していた存在。
それでも無視しきれなかった存在。
今更椿に振り回されるのは嫌なのに。
こうして会ってしまえば、結局側にいる一条昴が気に触って。
自分らしくも無くその苛立ちを椿にぶつける。
それでも初めて触れた自分の婚約者は、悟の心情を少し変えた。
そう…少なくとも。
つまらない結婚になると思っていた事はどうやら間違いの様だ。
伊集院家からも、他の女からも馬鹿にされてきた椿を。
どうやら自分は本気で手に入れたい様だ。