第2章 イかれた婚約者
『イカれた令嬢』ね……。
ピッタリじゃないか。
メイド達の言葉にはひどく納得するのに、その気持ちとは裏腹に悟の足はそのままメイド達の元に向かった。
「ねぇねぇ。」
悟の声にお喋りをやめて、メイド達が一斉に悟を見る。
「!?」
先ほどとは違い、目隠しをしていない裸眼の悟の顔の破壊力に、メイド達は一瞬で言葉を失った。
その光景を嘲笑うかの様に、悟はニッコリと笑った。
「椿にちょっと無理させちゃったから…様子見てきてくれる?」
「っはい!!」
顔を真っ赤にして、メイド達は悟に一礼して執務室へ向かった。
その後ろ姿を見て、悟はため息を吐く。
多分あのメイド達は、部屋に入って驚くだろう。
いつも見慣れた能面の魔女が、頬を染めて悔しがっている姿を見れるのだから。
しかし……ねぇ……。
あのイカれた婚約者は、この家でもイカれた生活をしている様だ。
何となく想像は出来る。