第9章 よくない変化
椿の陰口を女が笑って言っていた時、悟は同調もしなければ否定もしなかった。
別に悟にどう思われてもなんとも思わなかった。
彼を愛していないから。
なのに悟への不満が口にした時に、椿は彼への確かな怒りを感じていた。
椿に責められて、悟の目は歪んだ。
そして重々しく口を開いた。
「もう二度と同じ過ちはしない。」
そう言って悟の手は再び椿に伸びた。
椿は頬に触れた悟の手を、今度は払わなかった。
「…それでも…。」
そこまで言って椿は唇を噛み締めた。
今さら何をしたって、もう世間の評価は変わらない。
悟にとって椿は、気遣う必要のないイカれた婚約者で。
この結婚はただの政略結婚だ。
それでいいと言っているのだから、こんな悟の変化など望んでいない。
「これからは、僕たちを見た周りの目は一変するよ。」
悟は椿の顔を自分の方に引き、自分もまた椿へ顔を近付ける。