第9章 よくない変化
悟は大きな足幅で二人に近付くと、椿の腰を手で掴み自分に寄せた。
その反動で、直哉の手が椿の手首から離れると、視線を直哉の顔に向けた。
「変わったなぁ、悟くん。今までやったら、俺が椿の側におっても、気にもせぇへんかったやろ。」
悟は直哉の言葉に目を細めた。
彼の言葉はもっともで、今まで昴や直哉が椿の側に居ても、不愉快さはあったものの、こんなに怒りを覚えたことは無かった。
自分の心情の変化に戸惑いつつも、悟は椿へ視線を落とした。
椿はいつもと変わらない能面な表情で、ジッと直哉を見ていた。
袖から椿の手首に、指の跡がハッキリと残っているのを見て、言いようのない不快感が鳩尾に溜まるのが分かった。
「悪かったわ。悟くんも好き勝手しとったやろ。せやから、お互いもっとフラットな関係やと思うとってん。」
悟はその言葉で、自分が今まで椿にしていたことが、どういう意味だったかを初めて理解した。