第8章 視えない悪夢
『いつまで続けるつもりだ?』
静かな京都の山中。
人払いの結界に隠された古い屋敷には、今日も御三家の当主と重鎮たちが集っていた。
椿は直哉についてきた、時間つぶしに山林の空気を吸っていた時だった。
昔馴染みではあるものの、面と向かって話すのは滅多にない、男がそこに立っていた。
今とあまり変わらないが、雰囲気も椿を見る目も今と全然違う。
(ああ、悪夢の中か…。)
いつの間に寝てしまったのだろう。
悪夢を見たということは、断片的な情報の後に、また殺される場面で目が覚めると言うことだ。
早く起きなちゃいけないのに……。
最後の瞬間が始まる前に……。
頭の意識はハッキリと今の意識なのに、悪夢の中の椿は、勝手に体が動き、言葉を放っていた。
「…あなたは会議に出なくていいの?言っとくけど、私に取り入ったって、禪院家に変わることはないわよ。」
椿の声は掠れていた。
目の下に隈が酷く、酷い頭痛と倦怠感。
間違いなくもうすぐ直哉に殺される頃の体調だった。