第7章 慕情
「悟!!出して!!出してよ!!」
椿は見えない壁をバンバン叩きながら、目の前にいる悟を睨みながら叫んだ。
そんな椿を目を細めて見ていた悟が一歩後ろに下がると、椿の目から悟は姿を消して、真っ暗な暗闇だけが残った。
「っ嫌っ!嫌よ!!こんな場所に置いていかないで!!悟っ!!」
どれだけ叫んでも、なんの返事も無い。
「……悟………昴……昴!!昴!!助けて!!」
悟を呼んでいた声は、とうとう別の男の名前を叫んだ。
悟はそんな椿の声を聞きながら、隣の部屋の襖を開けた。
さっきまで床に転がっていた昴が、椅子に座りいつもの無表情で悟を見ていた。
しばらく悟を見ていた後に、昴はゆっくりと唇を動かした。
「……あんた……何がしたいの?」
そう悟に問いかけた昴に対して、悟は惚けたように首を傾げた。
「…なんだ。やっぱり全然平気そうじゃん。」
首を切られても普通に声を出している昴に、悟はニッコリ笑って言った。