第6章 狂気の月
(やっぱり、あの犬殺しとけば良かった…。)
痛めつけてはいたが、死なない程度には留めた。
その自分の気遣いすら嫌になった。
「……入りそうだから、入れるよ。」
椿の足を抱き上げて、悟の体が椿の間に入ってきた。
「………………。」
その光景を、椿が薄っすらと目を開けて見た。
「………待って…悟……。」
悟の体を手で押し返して、椿は悟を見上げた。
「私と。結婚してくれるよね。」
顔を紅潮させて、悟の真似をして愛しい人を見る瞳をしている。
その椿を見て、今までに感じた事の無い衝撃を受けた。
「……僕と結婚がしたいの?」
「悟じゃ無いと嫌よ。」
そう言って椿の腕が悟の首に巻かれる。
「…はっ…。椿。」
そのまま椿に誘われる様に、悟の体が再び椿と重なった。
「随分とおねだりが上手になったね。」