第10章 狼狽の行方
「え」
固まるノルバート。片やゼラは身を乗り出した。
「え、じゃねえだろとっくにバレバレだっつの!! はっきりしねえ割にシシィちゃんとずっとべったりだし、審査基準謎だし、紹介すんの嫌そうなの正味最初からだもんな? ……おい耳赤くすんな、なんでシシィちゃんじゃなくお前の照れ顔見せられてんだよ。いらねえ〜」
彼の勢いに押されながら、途切れ途切れに言葉を絞り出す。
「こ、言葉にしたの、初めて、で……」
そう答えるノルバートの声はますます消え入りそうだった。
「まじか! あんだけ普段から牽制して彼氏面してるくせにその段階?!」
「か……っかれしづら……?!」
「いや外野からは正直そう見えてるって」
「ええ?!」
ひとしきり詰めた後、ゼラはハァーとため息をついてから、ノルバートの方を向き直った。
「まあ、わかったよ。お前らのことはだいたいわかった。だいぶ待たされた件は当分擦るけど」
「ゼラくん、本当に、今回のことは……」
「うるせえってもう。で? そっちは? そろそろ勇気出すわけ? 出すよな?」
「…………」
「おーい」
「……」
「でないんか〜い……」
「ごめん」
「ほんとマジ……」
この情けない謝罪会見を終えた翌日も、ゼラは普通に話しかけてきた。
……嫌われても仕方ない、と思っていたのに。
それだけじゃない。
なぜ、ここまで優柔不断に付き合ってくれたのか。
彼に尋ねた時の答えはこうだった。
「だりいから」
「だるい?」
聞き返すノルバートにゼラは本当にだるそうに続けた。
「ミドルスクールの頃にさ、俺の方から告った彼女、いたんだよ。でもその子、実は俺より前から付き合ってる彼氏いたの後でわかってさ」
「……そうだったんだ」
「あっおい湿るな検閲男。つーかそれより! お前も顔いい自覚ぐらいはしとけよな、事故るから」
……実際に彼が危険な男なら、僕の行為には一応意味もあると言えた。しかし、知れば知るほどゼラはそこに該当しなかった。
それがわかってからも引き止めたのは。
「本当に……だめだな」
シシィにも、ゼラくんにも、長く不義理をしてしまった。守ってるつもりで。
これからは行動、変えないと。