第9章 作る人
◇◇◇
「なあ、シシィちゃんってフリーなんかなあ」
騒がしい学食で、珍しく彼らは少し声量を控えて話し込んでいた。
「それ、俺らの永遠の謎」
「だよなあ」
「いつも一緒にいる黒髪男がやたらとスペック高いんだけど、あれは付き合ってんの? どうなの?」
一人が核心に触れる。
「かなり仲は良さそうだし、シシィちゃんに話しかけたらあいつも混ざってきたって噂もある。でも決定的ないちゃつきの目撃証言はないっていう」
「混ざってくんの?!」
「尖耳ちゃんだからな……色々あるのはあるだろうが。あそこに関してはわかんねーラインだけど、まあ不戦敗は大量に生んでるかな」
「んだよ〜! はっきりしてくれよ〜〜!!」
「声でか」
◇◇◇
放課後の人のいなくなった教室で、ノルバートが読みかけの本のページをめくっていた時だった。
「ノルバート、今いいか?」
急に声をかけられ、顔を上げる。
「ゼラくん? いいよ、何?」
「ちょっと聞きたいことあってさ」
彼はノルバートの近くの席に座った。
クラスは違うが、彼は目立つ。
明るい茶髪に見るたびに違うヘアピン、部活は運動部。
それくらいしか知らなかったが、授業のつながりで多少は面識があった。
「ノルバートってさ、……シシィちゃんと付き合ってる?」