SW異銀河から落ちてきた言葉の通じない謎の親子を保護しました
第4章 襲撃、それからタイムリミット
目の前にある、ひっくり返った重いタンス。
黒く焦げた畳。
そして、中身が消滅した後の白い装甲。
「あの話……全部、本当だったんだ……」
星子は腰を抜かしたまま、ガタガタと全身を震わせて呟いた。
ディンがあの夜に一生懸命語ってくれた、あの「太陽が二つある砂漠」も「星の海を渡る鉄の船」も、決して風変わりなオタクの作り話などではなかったのだと。
「すぅ……すぅ……」
激しい戦闘の反動からか、グローグーは畳の隅で泥のように眠り込んでいた。
あの不思議な奇跡のような力を使い果たし、限界を迎えているのだろう。
ディンはそんな愛息をそっと抱き上げると、客間の布団へと優しく寝かせた。
その時、倒れた白い装甲の腰元から、カチリと電子音が響いた。
転がっていたのは、小さな手のひらサイズの円盤型の通信機だった。
そこから突如、ノイズ混じりのホログラムの青い光が立体的に浮かび上がり、不気味な男の音声が流れ出した。
言葉はディンの故郷の言語だったが、今のディンには、その内容を星子に伝えるだけの日本語が備わっていた。
画面に表示されている数字と、男の冷酷な声をじっと聴いていたディンは、ヘルメットの奥から地響きのように低い声を漏らした。
「……空間の、歪みが、閉じる」
「え……?」
星子が息を呑むと、ディンは通信機を冷たく見下ろしたまま、ぽつり、ぽつりと日本語を紡いだ。
「俺たちが、この星に落ちた時空の裂け目。あと……三ヶ月。三ヶ月で、完全に消える。あの裏山の洞窟の奥だ」
通信機のデータには、彼らが元の銀河へ帰るための唯一のルートである時空の歪みが、あとわずか三ヶ月で完全に消滅するという警告が冷酷に刻まれていた。
それを過ぎれば、二度とはるか彼方の銀河へ戻る道は閉ざされてしまう。
「三ヶ月……」
星子はその短すぎるタイムリミットに、胸が締め付けられるような切なさを覚えた。
しかし、ディンは感傷に浸るよりも先に、戦士としての別の問題に直面していた。
彼は壊滅した居間と、吹き飛んだ玄関の扉を見つめ、深くヘルメットを垂れ下げた。
自分のせいで、恩人の家をめちゃくちゃにしてしまったという、強い責任感と申し訳なさがその背中から痛いほど伝わってくる。