第1章 →ほーじ茶。4月
4月13日
「おい、安岐起きや」
誰かの声が聞こえる。
もう朝か。嫌やな、起きるの。
うん、黙り決めこもう。
「えぇかげんにしぃや!!!」
『ぴぎゃあああああああ』
布団をガバッと剥がされる。
まだまだ肌寒い季節だ。
いきなり布団を剥がされるとなると、やはり変な声が出るわけであってな
「色気のない声やな」
『るさい。もう、布団返して!』
布団を目の前の男から奪い取ろうとするが、やはり男と女。身長という高い高い壁があり、奪い取れずイライラがつのる。
「遅刻するで?」
『やばっ!蔵、今何時や!?』
「もう8時やな」
うん、朝ごはんは抜きやな。
ベッドから起き上がり急いで着替えなければ
『おい、部屋から出て行ってや』
「はいはい」
蔵はそう言うと部屋から出て行った。
これは昔からの日常だ。
朝が弱いあたしは小学生の頃から現にいたり、幼なじみの白石蔵ノ介に起こしてもらうという情けない朝を過ごしている。
『すまん、ほな行こか』
「おばさんほな行って来ます」
「くーちゃんいってらっしゃい」
おい、娘にはあいさつないのかよ。
『...いってきます』