【重め溺愛共依存】ぼくに夢中になってよ。【えっちなのばかり】
第8章 のろいのような愛。/呪術_羂索(加茂憲倫)
その娘は、あるだけの風を集めてたたきつけるような嵐の中、布でくるんだ「ナニカ」を抱え、私の寺に訪れた。暗くてよく見えないが、血液らしきものが滲む布の下からは感じるのは、禍々しい気配。
「なんだそれは」
私の問いかけに娘は、細く、震える声で「身に覚えがないのです…」「あかちゃん、できて、」「でも、…」「のろわれて、て」「でていけって、…ッ」そう途切れ途切れに説明すると、それ以上何も言葉が出てこないのか黙り込む。
身に覚えがない赤ちゃんができた。呪われてる。
そんな興味を唆られる文言に、私は黙り込んだ娘の肩に手を置く。
「見せなさい」
娘が抱えている布を受け取った瞬間、えずくような異臭が鼻をつく。あまりの臭いに顔を顰めながら布を広げると、まさかそんなことがあるのかと、口角が釣り上がる。
形は紛れもなく生後間もない人間の赤子。しかし、頭部は凹凸に歪み、顔の皮膚は剥がれ、眼窩部が存在せず指の数も異数。明らかに人間ではないその姿、そして感じる気配に、私は確信した。
これは呪霊だと。
勘付いた私に気付いた呪霊はまるで「正解」とでも言うように、うすら笑いを浮かべた。その馬鹿にした態度に苛立ち、蚊を殺すかのように呪霊を祓い、煙となって跡形もなく消えたそれを鼻で笑う。
目の前で消えた赤子に、娘は驚愕の表情を浮かべた。
「ぁ、あっ、あかちゃ、ん、が…っ!」
「アレは呪霊だ」
「じゅ、れい…?」
「呪いの霊と書いて、呪霊。君は知らないうちに呪霊の子を孕んで、産んだということだ」
まさか、呪霊を孕めるという特異体質の人間と出逢えるとは想像もしていなかった。
おもしろい。
非常におもしろいぞ。
娘に数多の呪霊との子を孕ませたら一体どうなるのだろうか。
知りたい、見たい、試したい。下腹のあたりがうずうずと蠢いて、好奇心が抑えられない。
状況を飲み込めず立ち尽くす娘の有無を聞かず手を引いて、寺の中を歩く。そりゃあそうだ。呪力もないただの一般人がすぐに理解できるはずがない。
娘の前を歩きながら、口元を手で押さえ、笑い声が漏れないように気を付ける。
引いた手は、雨で濡れたせいもありひどく冷たかったので、まずは風呂場で身体を温めるよう勧めた。
さて、と。これから娘にどんな呪霊を当てがおうか。