第17章 お風呂編
それからすぐ、セロが実際にお湯をためてくれる日がやって来た。
あなたとルドガーは週末の夕刻に、入浴セットを持って小屋を訪れる。
するとそこには、湯番のように作業着を着たセロがいた。
湯気の立つお湯を、石桶の外から長い棒でかき回している。
「わあ、すごいですねセロさん! 本物の温泉みたい!」
「悪いがさすがに温泉は出ねえ。でも見てみろよ、お前らのために入浴剤も用意したんだ。一個150フロンな」
商魂たくましい彼に勧められ、あなた達はいくつかの種類を買った。
だがルドガーが袋に鼻を当てて匂いを確かめている。
「これは安全か?」
「当たり前だろう。俺自作の愛用品だぞ」
ルドガーは訝しんでいたが、あなた達二人はさっそくお風呂を楽しもうと準備する。
だが魔術師セロはまだ何か言いたいことがあるようだ。
「なあ俺さ、考えたんだけど。この立派な浴場を騎士達に開放しないのはもったいねえよ。どうだ、俺が係員やってやるから、一緒に儲けねえか?」
童顔寄りの黒髪青年が、悪そうな顔で勧誘してくる。
あなたは引いていたが、ルドガーはこういう口のうまい者達に慣れているのだろう。
迫力の強面でセロを見下ろした。
「ふざけるな。ここは俺がのために作った風呂場だ。誰が騎士どもに使わせるか。金なんてどうでもいい、俺たちが二人でゆっくり過ごす以上の価値などない」
きっぱりと主張し、あなたのことを新たに惚れさせる。
セロは舌打ちして悔しがっていたが、ルドガーはお湯を作ってくれたセロに一応感謝の気持ちもあるのか、続けて言った。
「お前達もこういうものを作ればいい。それで商売をしろ。ナザルがやってくれるんじゃないか?」
彼にしてはソフトな提案だ。
しかしセロはあからさまに顔をしかめた。