第17章 お風呂編
森の暮らしから騎士団へ帰ってきて、また日常が始まる。
あなたは近頃ルドガーにまとわりつき、ベタベタすることが多くなっていた。
「おかえりルドガー、今日早いね。嬉しい〜」
「おおっ、ただいま。俺も嬉しいぞ。…最近お前からのスキンシップがもっと増えてるな」
あなたを抱き上げてキスしてくる彼の笑顔に、こちらも照れる。
獣のルドガーとの日々はそれは素晴らしいものだったが、やはりこうして触れ合えることは大きな喜びなのだ。
「そりゃそうだよ。あなたとイチャイチャできるし……でももふもふにも時々触りたくなるけどねぇ」
甘えるように首に手を回し、頬にちゅっとお返しする。
ルドガーは金の瞳を細め、そのどちらの愛情にも満足しているようだった。
「そうか。じゃあもうすぐお前の願いを叶えてやれるな。――よし、じゃあ明日お前に見せたいものがあるんだ。一緒に来てくれるか?」
「……えっ? うん、行く行く!」
もしかしてサプライズで獣化したルドガーにまたハグできるのかな?
なんて想像をして、あなたはワクワクした。
翌日、彼は早めに仕事から帰ってきた。
制服を脱いで私服に着替え、あなたも連れ立って騎士団領内を歩く。
まだ夕方で紫の空は明るい。
寮舎の裏とは違う、整った芝生のスペースへやって来た。
敷地の隅のほうは木々が囲み、静かな憩いの場のようだ。
そして驚いたのは、真ん中にどーんと建っている木造の小屋だった。
「わあ、こんな所あったっけ? 結構大きくて立派だね。何が入ってるんだろう?」
「俺達の風呂だぞ」
「…………ええ!?」
腕を組み、胸を張っているルドガーを二度見する。
話を聞くと、なんと彼はあなたの「獣のルドガーとお風呂に入りたい」という純粋無垢な夢を、まっすぐに受けとった。
そして、帰ってきてから十日ほどしか経ってないのに、彼は毎日一人で仕事終わりの30分を、木工作業に充てていたのだという。