第16章 獣化編
「そ、そうか? そんなに恰好よくなったか、俺は」
「前からだけど……こんなふうに触れられるのも、久し振りだから…」
そう伝えると彼は嬉しそうに笑顔になる。
広い胸に包み込み、キスをしながら想いを返してくれた。
今日はもっと素直になってしまいそうだ。
彼が彼自身を全てあなたに見せてくれたように、あなたもきっとそうなる予感がしていた。
二人は心地よい汗をまとい、シーツの上で手を繋いで天井を見上げる。
狭くなったベッドが嬉しく、あなたは横向きに寝返りを打って微笑みを向けた。
「ねえルドガー。また一緒だね」
「ああ、いつも一緒だぞ。ずっとこうしてる」
彼もこちらに体を向けて、優しく微笑み返す。
そしてルドガー自身も気づく。今自分を映しているあなたの眼差しは、この二週間と少しだけ違うと。
そのことが胸の奥をくすぐって、確かな喜びを覚えさせていく。
「なぁ、してほしいことがあったら全部言え。最近俺は、ずっとお前の世話になっている」
今も全部を気持ちよく包みこんでくれるルドガーが、突然そんなことを言ってきた。
あなたは彼に身を寄せて、自分から頬にキスをした。
うっとりした眼差しで、こう尋ねる。
「何個でもいいの?」
「んっ? おお、いいぞ。お前の願いだ。なにがいい?」
彼は喜びを隠さず、あなたを抱き寄せた。
「じゃあ……いつか、週一回は獣化したあなたとお風呂に入りたいな。そして、人化したあなたには毎日背中を洗ってもらうの」
少し尖った耳元で、そんな可愛らしい願いを聞いた彼は、顔をサッと赤らめる。
「お前の背中は毎日俺が洗ってるよな…? じゃあ獣の俺と風呂に入ることだけか? 増えたのは」
あなたはくすくすとした笑みで頷いた。
ルドガーは、照れながらも首をかしげる。
つまり、あなたの幸せは、ほぼ満たされてるということなのだ。
彼はあなたを抱きしめながら、「でかい風呂が必要だな。作るしかない」なんて言っていた。
二人の大切な時間のことを、すでにちゃんと考え始めてくれてるようだった。