第16章 獣化編
ゼイラン軍は多種族が所属していて、ほとんどが貴族の男性らによって成り立っているらしい。
騎士団はもう少し柔軟で、魔族の中でも精鋭が集まっているが、ゼイラン軍の軍人達は、さらに帰属意識が高いのだそうだ。
「ふっ、まあいい。は軍人のほうが好きなんじゃないか?」
誰よりも誇り高いルドガーが、狼や獅子にも似た凛々しい顔立ちを構え、あなたに正面から尋ねてくる。
「うーんそうだね。軍人っていうより、ルドガーが好き。もし騎士だとしても、関係ないかも。だってあなたなんだもん」
結局あなたはそれが言いたくて、ルドガーの艶のある長毛にぎゅっと抱きつく。
人前だったけれど、気持ちは抑えきれなかった。
するとルドガーは、また静かになった。
瞳をぱちぱちと動かして、黒いまつげが少し伏せられる。
いつもは立っている三角の獣耳は、くたっと下がった。
「……嬉しいぞ。だがこいつがいると、照れづらい。そういうことは後で言ってくれ」
完全に照れてしまっているルドガーに、あなたが笑う。
腕を組んで二人を眺めているセヴァも、優しい年長者の顔つきをしていた。