第16章 獣化編
天気のよい日に深い森を三人でゆっくり進んでいく。
人間に大型獣、虎族という面白い組み合わせだったが、会うのは数回目だしあなたは楽しく過ごせていた。
「二人が騎士団の寮で暮らしていると聞いて驚いたよ。本当は俺の屋敷で話したように、ゼイラン様に謁見の手筈を整えていたんだが、あの人の自由さは止められないよな、ルドガー」
「ああ。相手の隙を突くのが好きだからな。だがそれが彼の良さでもある。戦闘では見習いたいところだ」
ルドガーが落ち着いた声でそう言うと、同じ軍人のセヴァは小気味よく笑った。
「ねえルドガー、軍と騎士団って、雰囲気が違うの?」
道が狭まり、葉を避けるために前を歩いてくれるルドガーに、ふと後ろから話しかけた。
すると彼は立ち止まり、獣の顔を頷かせる。
「そうだぞ。その二つは仲が悪い」
「ええっ」
「おいおい、ストレートに言いすぎだぞ。隊長としてはフォローが難しくなるだろう」
「本当のことだろ。…、簡単に言うとな。軍の奴らはもっと顔が怖い。規律も厳しく、騎士の連中がぬるま湯の坊ちゃんたちに見えるんだ」
ルドガーが皮肉めいて言うと、セヴァは苦笑した。だが否定もしないらしい。
だが何も知らないあなたは、くすくすと笑った。
「坊ちゃんって。ルドガーもセヴァさんも立派なおうちの坊ちゃんじゃないの? 優しくて、紳士的な振る舞いは騎士さんたちと同じに見えるけどね」
遠慮なく返すと、セヴァは大きな声で吹き出していた。
ルドガーは何も言えず、反応に困っているようだ。
「くくくっ……さん、君は鋭いな。今の意見は全員に聞かせてやりたいよ」
大人で落ち着いた物腰の彼の笑いを誘い、あなた自身も肩を揺らす。