第16章 獣化編
「ふふっ。嬉しいです。じゃあ絶対に会いましょうね。……あっそうだ、まだ切らないでくださいよ。……あの~実は、同じ女性同士だし、ちょっと守護者さまに恋愛相談したいなって思ってたんですよ」
『……なに? 私に恋愛相談だと……?』
「はいっ。だって経験すごそうですよね、大人の色気がいつも声からむんむんしてますもん」
過剰に褒めた感じはあったが、守護者は若いあなたの提案に呆れながらも、話を聞いてくれそうだった。
内容はルドガーの気持ちのことだ。
獣の彼のことを守護者に聞いても分からないと思ったが、男心を理解するヒントが見つかればいいと考えた。
なのであなたは最近あったことを、彼女に簡単に説明した。
『なるほどな……だが、何を悩むことがあるのだ? あいつがそう願ったように、人化したあいつを求めて愛してやればいいだけの話だろう』
「え。いやでも、そんな単純なことなんですかね? 私は獣化した彼も、人化した彼も、同じぐらい大切にしたいと思ってるんですよ」
心からの思いを述べると、彼女はいったん考えたあと、こんなことを言った。
『お前はそれがもう出来ているのではないか。話を聞くと、一緒に森を散策したり、食事したり、ブラッシングをしたり、狩りに送り出したり。お前が思うよりも、十分以上のことをやっているぞ。きっとルドガーも、それを感じている。……私が思うに、あいつは獣の自分も愛されているという充足を得たんだ。だからこそ、人化した自分の存在をまた示したくなったのだろう』
彼女の言葉に、あなたははっとなった。
すべてが胸にするすると落ちていく。
つまりルドガーは、あなたの愛を確信できたからこそ、「自分がこう愛したい」という願いをまっすぐとぶつけることが出来たのだと。
あくまで推測ではあるが、自然と腑に落ちていった。
「すごいです、守護者さま……本当にそうなのかも。ルドガー、獣のときも今はすごくリラックスして、私を迎えてくれるんですよ。……ふふ、だから覚えていてほしいって、そういうことだったのかな」
あなたが笑みをこぼすと、向こう側でもふっと優しい吐息が聞こえた。
「それにしても、守護者さまも動物の心が分かるんですね。もしかしてあなたも獣だったりしませんよね?」
『……ははははは!』
彼女の初めて聞く快活な笑い声に、あなたはびくっとなった。
