第16章 獣化編
そうして一人で過ごしていると、この間ルドガーが言ったことが過る。
「人化した自分のことも忘れるな」なんて、とても意外で驚き、あなたは赤面してしまった。
彼があんなことを言ったものだから、めったに夢を見ないあなたでも、人化した彼と獣の彼が同時に夢に出てくるなんておかしな体験もした。
獣の彼と戯れているあなたに、遠くにいるルドガーが腕を組み、複雑そうな顔で見つめている夢だ。
「あれは焦るよねえ……でも別に私悪いことしてないのに……」
汗がにじむ苦笑をして、温かい飲み物のカップを口に持っていったときだった。
突然、あの声が脳内に割り込んできたのだ。
『。お前、今どこにいるのだ?』
「ひゃあぁぁっ」
独り言をずっと言っていたので、急に違う人に話しかけられてびっくりする。
だが、その落ち着いた貫禄のある声はあきらかにあの守護者だった。
あなたはつい周りの状況を確認したあと、深呼吸をして返事をした。
「……あの、守護者さまですか? お久しぶりです~。またずいぶん時間が空きましたね」
『まあな。ようやく暇な時間が取れたのだ。……お前はいつも、こちらの手が届きにくいところにいるな。……さすがルドガーといったところか』
なにやらもったいぶった話し方は健在だ。
しかし彼女はどうやら、こちらの様子は把握できなくとも、セヴァの私有地が厳格に隔離された区域だということを感じ取ってるようだった。
「今ルドガーの毛が生え変わってるんです。獣の彼と毎日仲良く過ごしてるんですよ。すごくないですか?」
『ふふ。お前もさすがだな。獣に愛される由縁がわかる』
どういう意味だろう。そう思いつつもあなたは興奮気味に話を続ける。
気になることがたくさんあったのだ。