第16章 獣化編
森のログハウスで生活し始めてから、一週間が経った。
今日は朝から獣のルドガーは遠出をするという。
狩りの前に獣医であるゲアト医師のところへ行って、体を診てもらうのだ。
これは換毛期の経過観察をするためのもので、毎年のことらしかった。
「じゃあ行ってくる、。夕方には帰るからな。くつろいで過ごすんだぞ」
「うん、ありがとう。ルドガーも気をつけてね。ゲアト先生とセアちゃんにもよろしくね」
あなたは木扉前で彼の毛並みにハグをし、笑顔で見送った。
濃い青の大きな獣は、徐々にスピードを出して森の奥へと駆けていく。
この生活にもだいぶ慣れて、違和感はもうほとんどない。
種族の異なる番に対して、ルドガーもあなたも、互いに気遣いや優しさがあるから上手くいっているのだと思う。
「ふう、出かけちゃった。なんかこうしてみると、騎士団にいる時と変わらないよね」
笑みをこぼしながら、あなたは暖かく快適なログハウスの中でまったり過ごす。
集めた毛で一個だけクッションを作ろうと勤しんでいて、ようやく完成した。
白い布張りの簡易的なものだが、お気に入りのふかふかだ。
「できたあ! ……ああ、きもちいいー」
それを抱えて暖炉の前でゴロゴロする。
そのあとは昼ごはんを食べて、リビングのガラス張りの前に座った。
今日は深い森の情景が広がり、木漏れ日が美しい。
時折ガラス窓の近くに縞模様のリスがやって来て、あなたは手でなぞって笑いかけた。
「可愛いなぁ。私って結構、動物に好かれやすいのかな。それとも人間だから、めずらしいの?」
前向きに考えて笑みがこぼれる。
動物もこちらを怖がってないと分かったとき、さらに温かい気持ちになるのだと知った。