第16章 獣化編
ルドガーは森ではまるで自分の庭のように、あなたを案内してくれた。
「この木の実は食べれるぞ。うまかった」
「ほんとう? ケーキにしたら美味しそうだね」
お喋りしながら風の気持ちいい木々の間を歩いていく。
なんて楽しいのだろう。
騎士団も緑豊かで素敵なところだが、ここはスケールが違った。
静かなのに森のざわめきや葉のこすれ合う音、鳥や虫の鳴き声に包まれ、全身がリフレッシュする。
「はあー。気持ちいい……ルドガー、いつもこんな気分で過ごせたんだね。いいなぁ」
「ははっ。お前は思ったより自然の子だな。都会が合っているのかと思ったが」
そばに腰を下ろす青い獣の彼に言われ、あなたは照れた。
確かに不思議なほど、懐かしい気分になっていた。
歩いていくと、小川を見つける。
ルドガーはここで最初の日、魚を獲ってくれたようだ。
「ねえ、どうやって取るの? 手?」
「いや、口だ。見ていろ」
彼がわりと流れのある真ん中の所まで入っていき、水面をじっと見下ろした。
ドキドキして見ていると、狙いを定めた彼は口を素早く川に潜らせてあっという間に魚を獲る。
石の上でぴちぴちと跳ねる魚に、あなたは感動して近寄って行った。
「わあ、すごいすごい! 慣れてるねルドガー」
「ははっ、そうか? お前と出会ってから身につけたワザなんだ。俺は本来肉しか食わないからな」
魚好きのあなたのために、彼が出会った当初から努力してくれていたことを知り、嬉しい気持ちがふわぁっと広がっていく。
「ありがとー、ルドガー。優しい、好き」
あなたは彼の胴に腕を広げ抱きつき、すりすりと頬をこすりつけた。
彼の尻尾は喜んだようにぱたぱたと揺れていた。