第16章 獣化編
森の私有地に来て数日が経った。
あなたはすっかり獣化したルドガーにも慣れ、毎日を落ちてる毛の掃除から始める。
「よし、隅に集めてっと。わー、かなり溜まったねえ。クッションとか作れそう」
部屋の隅にふわふわ絹のような美しい毛が置いてある。
それを見ているだけで癒されていた。
ルドガーは今は外で食事中だ。
あなたも昼食を作って食べたあと、身支度をした。
動きやすい服装に着替え、胸元の二つ重なった花と獣のネックレスを触る。
「ふふ。今はこの通りの二人だね」
そう思い描きながら、ふと頭の中には、人化したいつものルドガーが現れた。
あの屈強な褐色の体に、黒い髪と黒い角。
精悍で整った顔立ちは、たまに嫉妬して怒ったり、拗ねたり、でもすごく気持ちのいい可愛い笑顔も見せてくれる。
彼は今、どこにいるんだろう?
――なんておかしなことをたまに考えたりした。
ルドガーが狩りから帰ってきたあと、あなたは喜びにわいて外に出た。
薄紫色の空には雲もなく、空気も澄んでいて美味しい。
「おかえり! 大丈夫だった?」
「ああ。このへんは広いが、もうだいたい覚えた。一緒に歩いても安全だぞ」
獣姿の彼はそう断言してくれて、あなたは飛び跳ねる。
本当にわくわくした。小屋に住んでいたときの森は、魔物が出る危険な区域で、軍人のルドガーはパトロールの仕事で滞在していたのだ。
でもここでは自由に二人で散策できるようだ。
こんなチャンスはめったになかった。
二人は手を繋ぐかわりにぴたっと隣に寄り添い、森へと出かけた。