第16章 獣化編
「うそ……ごめん、ルドガー。じゃあ休めなかったでしょう……だからあんなにあくびしてたの」
「気にするな。俺は何日か寝ないでも大丈夫だ。あくびは換毛期のせいなだけだぞ」
そう言ってくれる愛しい彼だが、あなたは自分の言動を反省する。
「わかったよ。別々に寝よう、寂しいけど。……でも近くにいてもいいよね?」
あなたが子供のような眼差しで求めると、彼の瞳はふっと細められた。
「ああ、もちろんだ。お前はベッドに寝るといい。俺はその下で休もう。……それでいいか?」
優しく問われて、あなたにも嬉しい笑顔が広がる。
二人は暗がりの寝室へ向かった。
ここのベッドも広々としすぎているため、一人では有り余っている。
ベッドサイドには持参した二人の大事な花を飾っており、いつものように見守ってくれている。
けれどルドガーと出会ってからは、常に一緒に布団に入っていたから、慣れなくてそわそわした。
「ねえ、そこ居心地大丈夫…?」
カーペットに寝そべるルドガーに尋ねると、彼は薄い瞳で顔を頷かせた。
「快適だぞ。それにお前の気配があって俺も安心できる。お前がベッドから落ちても受け止めてやるからな」
「……ふふっ。よろしくね。……おやすみ、ルドガー。明日も一緒に楽しく過ごそうね……」
喋っているうちに、眠気が襲ってきた。
獣の彼といても、あなたも心から安心ができていた。
昨日とは環境ががらりと変わってしまったが、あなたの寝顔を見つめるルドガーがまとう雰囲気は、いつもと同じでずっと優しいものだった。