第16章 獣化編
「はい、もちろんです! すぐに要請してみましょう!」
彼はあなたに明かりを渡してくれ、さっそく事務局に駆け戻って行った。
急なことにも対応してくれて、本当に感謝しかない。
だが残されたあなたとルドガーは、互いを見つめ合い、また悩み始めた。
「ルドガー、まさか今日は外にいるの?」
「そうだぞ。仕方がないからな。俺は厩舎にでも行って寝てくるさ」
四つ足を起こし、優雅に立ち上がると、彼の身長はさらに大きくなりあなたは息を呑んで見上げる。
人化したルドガーもかなりの巨体だが、本物の獣はスケールが違った。
だがまったく怖くはない。
獣化した彼は求婚のときに一度見せてもらったきりだけれど、あのときの気高く優しい印象と、一緒にいたときの安心感は消えることはないのだ。
「やだやだ。私も同じとこで寝る。待って、明日からの荷物準備したら戻ってくるね」
「だめだ、。お前はちゃんと人間のベッドで寝ろ。俺に合わせることはない」
「やだってば、そんなこと言わないで。絶対一緒に寝るもん」
だだをこねられたルドガーは困り果てていたが、なぜだか、あなたは今この姿になった彼と離れたくなかった。
毛並みにもう一度抱きついて微笑みを合わせ、なんとかOKをもらう。
そうして彼が騎士団領内の厩舎に向かうと、自分は部屋に戻り、服などの私物を鞄に詰めた。
荷造りを済ませ、隊長セヴァにもしお願いを聞いてもらえたときのために、準備万端にしておく。
そして防寒着に着替え、あなたは再び外に出た。
厩舎には初めて来たが、領内の端っこにある緑豊かなスペースの木造の平屋だ。
馬に似た脚力の強そうな動物たちは、大人しく夜の眠りについていた。
起こさないようにそうっと中へ入り、一番奥の藁がしきつめられた場所に、ルドガーを発見する。
彼が目を閉じて、手足を曲げて休んでいる姿を見て、温かくほっとする気持ちになった。
「へへ。来ちゃったよ。一緒に休もうね、ルドガー」
あなたはそばに寝転がり、彼の毛並みに体を寄せて、安心してから眠りについた。