第15章 サポート編
「おいおい、ぜってえこいつじゃねえよ。こいつにそんな度胸ねえだろ」
「だよな。許してやれよ、お前の勘違いだって」
「じゃあ誰なんだ! 早く出てこい! 俺が相手になってやるッ!」
男三人の連携の取れた会話にあなたが引いていると、事情を知ったターシャはこんなことを話し始めた。
「なるほど、そんなメモが……。あ、でも正直、誰が書いていてもおかしくないと思います」
「え? どういう意味ですかターシャさん」
「いやあの……さんは今まで近寄りがたい存在だったと思うんですが、事務局に現れてから、あなたの人気が団員たちの間でさらに上がっていまして……あッすみません! 失礼なことを!」
予期せぬ新情報にあなたは衝撃を受ける。
だが話を聞くと、年も近いし、あのゼイランの獣ルドガーとうまく付き合い、かつ騎士達にも分け隔てなく接してくれる親しみやすさが、彼らにとって魅力に映っていたらしい。
「え、え~。うそ~。そんなふうに思われてたの。やだ嬉しい~。だって最初ものすごい空気的な扱いだったのに。ねえルドガー」
照れ隠しに彼の袖を引っ張ると、ルドガーは当然仏頂面を極めていた。
「つまりあれか。のことを、ここのオス共全員が狙ってるというわけだな……」
彼の地を這うような低い声に、その場の空気がぴたりと凍りつく。
「ふざけるなよ……コロスッ!!」
「違う違う、落ち着いてルドガー。大丈夫だから。誰も狙ってないよ。私を狙ってるのはあなただけ。……それに私の気持ちもあなだけのもの。そうでしょう?」
あなたは男達の前だけれど、ルドガーの黒髪に生えた角を、そっと優しく撫でた。
こうすると、少しだけ大人しくなる気がした。
「…………ッ。く、……。人前でそんなところ触るな……」
「えっごめん」
素で謝り、みるみるうちにルドガーが安堵し、彼の気が静まったところを皆が目撃した。
騎士も胸をなでおろし、セロは「なんだこの茶番劇」と白けていたが、ナザルは同じ獣のそんな姿を見て、ややつまらなそうな横目をやっている。
こうして結局メモの主は分からなかったけれど、あなたにとっては、たいした問題ではない気がした。
大事なのは、いつも互いの心を落ち着かせる相手がちゃんとそばにいるということなのだ。