第15章 サポート編
「さん、お久しぶりです。ルドガーさんも!」
「ふふふ。元気でしたか? この間は人参ありがとうございました。でも見てくださいよ、あの赤兎、こんなになっちゃったんですよ」
あなたはすっかり事件のことが頭から抜け落ちて紹介する。
するとターシャは振り向いた赤髪のナザルに気づき、「ひいいっ」と後ずさった。
怯える若騎士を前に、ナザルはにやりと瞳を細め立ち上がる。
自分のほうが優に高い身長を生かし、脅かすように見下ろした。
「あぁお前かよ。何ビビッてんだ、感動の再会じゃねえか。これからは仲間になったんだからなぁ、よろしく頼むぜ。くくく」
「おいナザル、やめろよ騎士さん固まってんじゃねえか。…わりいなターシャ。あんときのこと」
哀愁ただよう顔でセロが獣の腕を引っ張り、無理やり座らせる。
あなたも悪いことをしたと思い、ターシャに声をかけて椅子に座ってもらった。
「いえ……自分の落ち度でしたから。今は団長もあなた方を仲間だと承認していますし、自分も、その、……仲間だと……っ」
緊張から心と体がちぐはぐな騎士に対し、あなたに慈愛の心が蘇る。
彼は自分が初めて催眠魔法を与えたある種忘れられない対象なのだ。
「ターシャさん。さっきはあんなこと言っちゃいましたけど、自分の心に正直になっていいんですよ。難しかったら付き合わなくてもいいし、全然大丈夫ですから」
「いや付き合ってくれよ。俺騎士の知り合いいねえから、今後護衛してもらわないといけねんだよ」
セロの横槍が入る一方で、あなたの優しさを快く思わない男がもう一人いた。
「あ、ありがとうございます。さん……あなたにそう言っていただけると、俺は……っ」
「俺はなんだ」
場を凍らせるような鋭利な瞳が騎士を突き刺す。
ターシャは忘れていた二人目の巨体に、たくましい体を震え上がらせた。
「ああそうか……もしやお前なのか。あのふざけたメッセージを入れたのは」
「は、はい…? なんのことですかルドガーさん…?」
「とぼけるな、俺の番を˝可愛い奥さん˝などと悦に入った呼び方をしたのは、お前だろう!」
「……えっ。……ち、ちがいます、俺じゃないです!!」
立ち上がり追いかけまわそうとするルドガーを、あなた達は三人がかりで止めた。
同じぐらい力の強そうなナザルがいなければ惨事になっていただろう。
