第15章 サポート編
ルドガーは翌日になると、意見箱を廃止した。
そのかわりひときわ目立つ巨体で事務局の前に立ち、訪れる騎士達を見下ろす。
「何か意見があるならば、俺のところに直接来い。どんな内容でもじっくりと聞いてやる」
彼は人工的な笑顔を浮かべ、それが皆の恐怖をあおった。
果たして何人の騎士がその誘いを受け止められるのか。
答えは誰もいなかった。
「つまらんな。……ああ、お前も俺への意見書を持参してるのか? 来い」
「……い、いえっ、やっぱり大丈夫です!」
びくっと肩を揺らし、制服姿の騎士が踵を返して逃げていく。
入れ替わりのように廊下を歩いていたあなたは、ルドガーの珍しい姿を発見した。
「あっ、ルドガー! こんなところで何してるの?」
「……! お前なら大歓迎だ、さあ来い」
団内では珍しく本物の笑みを浮かべ、腕を広げられたので遠慮なく潜り込む。
背後から事務の騎士達のどよめきが聞こえたが、あなたは後ろの撤去された箱を見やった。
「本当にやめちゃったんだ。まだまだ皆さんルドガーに伝えたいことありそうだったのに。……ていうかもしかして、犯人探しなんてしてないよね?」
「…別にしていないぞ。ほんとのオスがそんなダサいことするか」
明らかに怪しい表情だったが、今日は彼も時間があるのだろう。
あなたは温かい気持ちで、自分のことに一生懸命になってくれるルドガーを見上げていた。
すると本部一階のロビーに、玄関口から二人組が入ってくる。
ここは客人や騎士達が雑談できるラウンジにもなっており、よくたまり場にしているのが彼らなのだ。
「おー、にルドガー。どうしたそんなとこでイチャついて。騎士達を煽ってんのか?」
「セロさん! ナザルさんも! お買い物ですか」
「そうだよ。しょうがなく仕事やること決めたら、外出許可下りてな。ほらアイス、お前らにもやるよ」
フード付きの普段着の魔術師は、買い物袋から二つ取り出し自分達にくれた。
四人はちょうどそばのソファ席へ移った。
最初の頃の喧噪が嘘のように、今はルドガーも含め皆落ち着いてローテーブルを囲んでいる。
それぞれの進退が落ち着いてきたせいもあるのだろう。