第15章 サポート編
間もなくして、あなたとルドガーは本当に騎士団長に呼ばれた。
本部棟にある執務室へ向かい、廊下の椅子で順番待ちをしている。
ルドガーは仏頂面で、どこか苛立っているように思えた。
すると室内から二人の男が出てきた。どんよりと両腕を垂らしたセロと、舌打ちをする獣ナザルだ。
「あっセロさん、どうでした? 大丈夫ですか?」
「……もう終わりだよ俺の人生。簡単な仕事なんかないってさ……ここにいたいなら魔術師として獣を使いこなし精鋭任務に当たれってよ……無理だろ人間の俺に……」
いつもの元気は影をひそめ、セロは面談しただけなのにげっそりしていた。
騎士団長はどうやら厳しく真面目な人物のようだ。
気になるのはナザルだった。彼もうんざりした表情でルドガーを見やる。
「すっげえ嫌味な奴。なんだあれ? 面は良いが堅苦しくて何が楽しみに生きてんだ? 女の扱い方も知らねえだろ絶対。そこだけ勝ったわ」
「フッ。後半はお前の妄想だろうが前半は同感だ。あいつと話すのは本当に疲れるんだ。……、お前も気をつけろよ」
ルドガーはなぜか宿敵の獣と意見を合わせ、自分達の名前が呼ばれると、あなたの手を引いて中に入っていった。
軍人の彼はゼイランのときと違い、礼もせずに執務室へ進んだ。
あなたはおずおずと頭を下げ、その後びっくりする。
広く実用的な部屋の奥の書斎に腰掛けていたのは、思わず目を奪われるほど端正な、短く濃い金髪の男性だった。
凛々しく剛健な顔立ちで、年は20代後半だろうか。
青い瞳は透き通っていて、立ち上がるとルドガーと大差ないほどの長身である。
薄灰色の制服を一切の乱れなく着こなし、腕には団長を示す階級章が入っている。
胸元には騎士団の紋章が静かに輝き、その姿は華美さとは無縁だ。
「君か、。俺はこの騎士団の団長キリングだ。よろしくな」
「は、ひゃいっ。よろしくお願いします団長さん!」
あなたは緊張から声が裏返ったが、彼に手を差し出され握手をした。
ものすごく強く握られて泣くかと思った。
けれど彼はルドガーにはそんなことせず、一瞥しただけだ。
まさかお付きの人もおらず、三人きりで面談をするとは思わなかった。
書斎机を挟んでルドガーと並んで座る。