第14章 疑問編
ナザルの言葉は、どういう意味なのだろう。
もしこの前仮説を立てたときのように、彼もルドガーのいた戦闘施設に関わりがあるのなら――。
この場で問いたい気持ちはあったが、二人は口を割らなそうだった。
何よりゼイランはため息交じりの薄笑みを浮かべ、テーブルに手を出したまま見据えている。
その手はハンカチを取った。
紋章をじっくりと眺め、考えている様子だ。
「ふん、わからん。俺も見たことがない。ミザロ、写真を撮って送れ。調べてみよう」
「分かりました。――ではさん、ルドガー。こちらの件はいったん私達にお任せください。これはお返ししますね」
ハンカチを手元に戻され、あなたはほっとして胸元に抱える。
多忙な公爵の滞在時間はあっという間だったが、あなたは皆にお礼を言った。
緊迫した時間はひとまず去ったように思えた。
だがゼイランは最後に振り返った。
「そうだ、お前ら騎士団長と顔合わせしとけよ。ジュリス、手配しろ」
「はっ。了解しました」
あなたは完全に驚いたが、隣のルドガーは微妙に眉を動かした。
「ゼイラン様。奴は今あなたといるのでは?」
「あいつの仕事はもうすぐ終わりだ。先に帰るさ。お前も仲良くやれよ、嫌いなのは分かるけどな」
――えっ?
そんなことは初耳のあなたは、楽しそうに笑うゼイランと、不機嫌そうなルドガーの表情を交互に見やる。
だがもうすぐ会うことは、どうやら決まったらしかった。
ゼイランはセロ達にも声をかける。
「お前らの処遇は最終的には団長が決める。せいぜいうまくやるんだな。あいつは俺より優しくないぞ。はっはっは!」
彼の高笑いが廊下まで響き、やがて消えた。
新人のあなた達は顔を見合わせ、もうすでにドキドキしていた。