第14章 疑問編
騎士団に来た頃にミザロと出会った際、ルドガーは彼を「ゼイラン様の犬だ」と言っていた。
あなたは言葉のまま受け取っていたが、あの台詞はルドガーなりの反抗のしるしだったのかもしれない。
ルドガーはやっぱり主人のことを特別に慕う獣なのだ。
あなたが彼の嫉妬心を少し微笑ましく思っていると、ゼイランもこちらを見てうっすらと笑った。
今日は彼も仕事モードと普段の中間にいるような雰囲気だ。
そんな仲間内のやり取りの仲で、とくに黙りこくり微動だにしなかったのは、ここでは新参者のセロである。
「――ところでそこのお前、しがない魔術師のセロ・ナイデルとかいったな。報告書の内容と違ってえらく静かじゃないか。俺がここに現れたとしても、守護者の情報を明かさないでいられるのか?」
「……えっ……」
突然冷たい声で尋ねられて、セロはゆっくり瞳を合わせる。
彼は本当に恐怖していた。魔界で過ごして数年、ここまでの強者に出会った感覚はないからだ。
「ええと……あの……勘弁してください」
「なぜだ。お前の守護者は、この俺より恐ろしいのか」
「……は、はい。俺にとってはそうです」
セロが苦渋の表情で伝え、ゆっくり目をそらす。
するとゼイランは隣の赤髪の獣に目をやった。
魔術師に対してとは違い、銀色の瞳をじろじろと異質な動きで観察している。
「お前、その茶色の角……体格も、本当によくルドガーに似ているな。親戚とかじゃないのか」
「知らねえよ。……あんたのほうが知ってんじゃねえのか?」
含みのある挑戦的な眼差しは、一瞬だけゼイランの神経にふれる。
無遠慮に殺気が漂う二人のにらみ合いは続いた。
セロは青ざめ、ジュリスも剣に手をかけ握ったまま注視している。
ルドガーは動かなかったが、険しい目つきを向けていた。