第14章 疑問編
「分かりました。その紫髪の魔術師については、私のほうでも調べてみましょう。紋章についてはゼイランに尋ねましょうか」
そう言ったところ、セロが急に腰を上げた。ナザルに「じゃ、俺らはそろそろ――」とわざとらしく目配せして。
「どこへ行くんです。ここにゼイランを今から呼びますよ」
「あっそうですか。俺らは関係ないんで。それじゃ」
「まってくださいよセロさん、帰らないでください。あなたは重要な参考人なんですよ」
「嫌だね! ここのトップの怖い男が来んだろ!? まだ死にたくねえよ!」
彼が騒ぎ出すと、ナザルはセロの襟首を掴み、隣の席に引き戻した。
「なにすんだ裏切り者っ」と主人は反抗したが、どうやら獣のほうは動く気がないらしい。
口元を上げていたから、戦闘狂の彼の心がくすぶっているのかもしれない。
「ではジュリス、ゼイランをここに。守護者の手がかりが見つかったと告げてください」
「ああ、わかった」
ジュリスは騎士然とした顔つきで頷き、部屋を出て行った。
それから30分ほどが経つ。
今は夜で、そもそもまだ会合期間で地方にいるゼイランがすぐに来てくれるのか、あなたは疑問だった。
セロは死んだような目をしているし、ナザルは飄々としている。
ルドガーはいつもと変わらず落ち着いて背筋がまっすぐだ。
「師匠、そういえばさっきゼイラン様のこと呼び捨てしちゃってましたけど、大丈夫なんですか? もしかして上司がいないときは呼び捨てにしてるタイプですか?」
「何を言ってるんですかあなた。私は彼の部下ではありませんよ。彼は学院時代の後輩なんです」
「へっ」
あなたの素っ頓狂な声が響いたとき、ちょうど会議室のドアが開いた。
ルドガーが軍人らしく立ち上がり、あなたもつられて背を伸ばす。
座ったままのミザロ以外はぴりっとした空気で、起立しゼイランの登場を待った。