第14章 疑問編
「、お前。もしや加護のことを迷っているのか?」
「へっ。いや、それは、その」
「ふふふ。お前は嘘がつけない女だな。……俺をいつまで待たせる気だ」
――えっ?
こんな立場のすごい公爵ゼイランを待たせている気はなかったのだが。
だがどうやら、彼はいつでもあなたに加護を授ける用意があるらしかった。
「あの……でも、もう少しだけ待ってくれませんかね。私もルドガーの主人であるあなたに加護を授けてもらいたいと願ってます。こんなに優しいし、私なんかにもよくしてくれるし…」
改めて話すと少し恥ずかしさもあり、口ごもりながら伝える。
「ルドガーが慕っている主人だから、そう思うんです。でも、やっぱり守護者のことを先にはっきりさせたいなって思って。だめですかね…?」
勇気を出して真正面からお願いすると、またもやゼイランは呆気に取られた顔だ。
きっと彼に対してこんなふうな態度を示す人物は、珍しいのだろう。
「はあ。お前は……やっぱりルドガーの女だな。俺を恐れもしないのだから」
「……い、いやだってゼイラン様って優しいですからね。あんまり怖くはないですよ、もう」
「……ああそうか。幸せそうでなによりだよ」
皮肉を言われてしまうが、こうやって何度か二人や三人で会ってみて、緊張感は毎回薄れ、むしろ不思議な安堵感まで芽生えていた。
きっとルドガーが大切に思う、家族のような存在だからだろう。
けれど加護のことをはっきり伝えたのは、ルドガーはどう思うか気になった。
彼を見やると、いつもの優しい表情で見つめてくれている。
「……ルドガーもそれでいいと思う?」
「ああ。、お前が出した答えだ。急がなくていいと思う。……お前は、前に俺にもそう言ってくれた。加護がない間も俺がそばにいるから大丈夫だぞ」
「……うんっ!」
二人は互いの手を取り、思いやりを感じながら頷き合う。
ルドガーはこのことだけでなく、守護者に関する諸々において、あなたの意思を常に尊重してくれている。
だからあなたは信頼を胸に、迷いながらでも前へ進んでいこうと思えるのだ。
そんな二人の様子を見ていたゼイランの表情もまた、見守るような、不思議な穏やかさが漂っていた。