第14章 疑問編
「ゼイラン様、起きろ! 起きないと小さいころのように、あなたの上半身に思いきり乗るぞ!」
「……ちょっ、何言い出すのっ、声でかいよっ」
小声で注意しても、ゼイランはびくともしなかった。
寝息も聞こえず安穏と眠っている。
「……ダメだな。、お前が彼に向かってジャンプしろ」
「……はぁっ? そんなことしたら絶対あとで怒られるよ、怖いってば!」
「俺がやったら問題になる。怪我をさせるかもしれない。お前なら軽いから大丈夫だ」
そういう問題かと思いながら、時間もないし、あなたは靴を脱いでそろりとベッドに乗った。
それでも起きない。
初めて小屋に来たときから眠りが深いのは知っていたが、防犯上大丈夫なのだろうか。
「じゃあ行きますよ~……すみませんね~……よしっ」
あなたは彼にぶつからないように、ベッドの上で何度も飛び跳ねる。
スプリングが跳ね、やってるうちに楽しくなってきた。
童心がかえってくるようだ。
「おお、いいぞ、もっとだ!」
「そうっ? へへへ、楽しいーこれ!」
「…………お前ら、うるさいぞ!!」
「きゃああっ」
いきなり寝ていた上半身裸の男にばっと振り返られ、あなたはジャンプしたままルドガーの胸板に抱き留められた。
二人で抱き合って見下ろしていると、目つきがものすごい悪い美形の銀髪男が、こっちを恨めしそうに見ている。
「あ……おはようございます、ゼイラン様。申し訳ありません、変な起こし方しちゃって…はは」
「…………お前らいくつだよ。いったいどういう親の教育を受けているんだ。信じられないぞ……」
「年は20歳と18歳だが、は悪くない。俺のアイディアだ。俺を教育したのはゼイラン様だろう」
ルドガーが逐一正論を言うと、主人は朝から疲れ切ったように肩を落とした。
「まあ確かにな。お前がやってたら大変なことになってたよ。よくやった、ルドガー」
「構わないぞ」
「……お前なぁッ……」
二人の小芝居を観戦したあと、三人は吹き抜けの広いリビングへと移動した。
もう温かい飲み物が用意されていたが、執事の姿はなかった。