第14章 疑問編
あれからしばらくして、日常が戻ってくる。
けれど今日はなぜか、ルドガーと一緒に、赤髪の男ナザルを見つめていた。
一緒に来いと言われて、寮舎の一階にある彼らの部屋に上がり込み、行動を見ているのだ。
ルドガーは一体、どうしちゃったのだろう。
獣としての牽制なのか威圧なのか。
「おい、なんであいつらいんだよ。隅っこで見つめてきてこえーんだけど。お前嫌われてなかったか?」
「知らねーよ。……、あんただけなら大歓迎だけど、なんで旦那までいんだ?」
腕を組み不審がるナザルに、旦那と言われてあなたはぽっと赤くなる。
「えっとぉ……どうしてなの? ルドガー」
「あいつの生態を把握しようとしている。……だが分からん」
しかめっ面で答える彼に、ナザルは「フン」と横柄な様子で笑っていた。
あなた達の半分ほどのサイズの部屋には、セロの研究机と大きな騎士用のベッド、食卓にキッチンなど、暮らしに最適なものがそろっている。
机に向かっていたセロと違い、ナザルは日常的に筋トレをしてるようだ。
上半身裸の男が見せつけるように汗を流し、あなたに爽やかにアピールする。
夕食の時間になると、あなたはお邪魔したお礼として持参した食事を広げた。
「おお~っ、やっぱうめえな! 人間にしか出せない味だわ、これは」
「ありがとうございます。いっぱい食べてくださいね。……ナザルさんはどうですか?」
「わりいな、すっげえ美味そうだけど、俺は人間の食い物は食えねえんだよな」
味わって食べるルドガーとは対照的に、ナザルは申し訳なさそうに笑った。
じゃあ、何を食べるんだろう。
神妙に考え、セロを見やる。すると彼は呆れ笑いをした。
「そうなんだよ、こいつの餌は魔力だから。ちっ。面倒くせえな。ちょうどやるか」
黒髪の平凡な顔立ちの魔術師は、体格のいい赤髪を正面に座らせ、手をのばす。
額にかざすように詠唱をした。
するとナザルは英気を得たように、瞳をゆっくりと開いた。