第13章 初めてのデート
そのあとは街に戻り、ウィンドウショッピングをしたあと、食事をすることになった。
ルドガーが知っている店があるというので、興味を引かれたあなたはついていった。
肉のグリルのいい匂いがする、木彫りで重厚な店構えのレストランだ。
彼が入ろうとすると、看板前でちょうど太い腕を組んだ大男が止めた。
「ああ……? あっ、あんた! 前も来ただろ」
「そうだ」
「やっぱりな。その黒い角とでかい図体――あんたは出禁だ」
「……ええっ!?」
あなたは二人の大男の間で、右往左往して見上げる。
「ルドガー、出禁なのっ? 何したの?」
「わからん。なぜだ店主」
「覚えてねえのか!? 騎士団の連中とうちに来て、あんただけで店の食いもん全部食っちまっただろうがっ」
いくら彼でもそんなこと――そう思ってゆっくり見やると、ルドガーは思い出したように頷いていた。
「やばいよルドガー、なんでそんなことしたの」
「ここに来たばかりの頃、騎士たちに歓迎会を開かれて、なんでも食えと言われたからなんでも食っただけだ。すごく美味かったぞ」
平然と言う獣に二人は閉口する。
だがルドガーは簡単には引き下がらなかった。今日はあなたとのデートなのだ。
「あの時はすまなかった、店主。もうしない。普通に食事をするから、メシを出してくれないか。今日は俺の彼女が一緒で、大切な日なんだ。ここの美味しい料理を食わせてやりたい」
まっすぐ見つめる瞳は、真剣そのものだ。
あなたはその姿に感動を覚え、自分も「店主さん、お願いします!」と一生懸命頭を下げる。
すると熊のような店主は、難しい顔で考えるそぶりをした。
ルドガーをじっと見たあと、小柄なあなたに向かって、背を曲げて尋ねてくる。
「それが本当ならいい話だけどなあ。…嬢ちゃん、ほんとに大丈夫か? あんた連れまわされてるんじゃないか?」
「えっ? 違いますよ、今日は初めてのちゃんとしたデートなんです! ルドガーは私の素敵な彼氏なんですよ!」
店主はぱちくりと瞬いて驚いた様子だったが、やがてうーんと唸り上げた。
「あぁ、分かったよ。変わった二人だが若いカップルなんだな。そこまで言うならしょうがねえ。俺んとこのメシを食ってけ!」
あなた達は店主の心意気に感謝し、手を取って喜び合った。