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巨体の人外に助けられて世話される話

第12章 赤兎編


そこはちょうど、赤兎だったナザルを見つけた敷地内の茂みだ。
灰色のレンガが積まれ、騎士団の強固な塀がずしりと囲んでいる。

人影はなく、自分達三人だけが高い壁を見上げていた。

ナザルは腕を組み、不敵な笑みで佇んでいる。
この男があの可愛らしい兎に変身してたとは、いまだに信じられない。

「それで、ここ乗り越えたら捕まりますよ。いくら私でも通報しますからね」
「まーまー、見とけって、俺の真骨頂を」

ナザルはそう言うと、自分の体をゆらりと変形させた。
まるで煙と霧がまじりあったみたいに、黒い気体に移り変わっていく。

「……!!」

あなたはナザルの初登場時を思い出し戦慄した。
彼の派手なシャツ姿は消えていき、完全に薄いモヤとなる。

セロが魔術師然とした顔つきで、口を開く。

「ほらすげえだろ、こいつは半実体なんだ。通り抜けられない場所はねえ。くっくっく、騎士団のやつらめ、俺らの実力を少しは認めるんじゃねえか?」

完全に使役獣の力ではあるが、あなたは呆然と見ていた。
だが、突如異変が起こる。
ナザルの黒い霧は、なかなか外の壁を越えずにとどまっていたのだ。

「……いでっ! ……あっ? なんだよこれ、おい……なんで抜けられねえんだよッ」

彼の焦る声とドンドンと見えない壁を叩くような音がし、あなたは混乱した。

どうやら外からの侵入者だけでなく、中の逃亡者も逃がさない仕組みになっているようだ。

「えっマジ? うそだろ? ……クソっ! もう対策されてんのかよ! ミザロの野郎、ふざけんなクソがっ」
「出せこの野郎! 俺の唯一無二のアイデンティティを奪うんじゃねえッ!」

二人が口汚く騒ぎ出し、なぜかいたたまれない気持ちであなたは立っていた。

でもこの騒動はまだ終わりがない。
もう一人の男が、当然のごとく入ってくる。
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