第12章 赤兎編
「お二人はいつも一緒なんですよね? どういう出会いなんですか?」
「それはあれだよ。……師匠に押し付けられてな。こんな獣、俺が捕まえられるわけないだろう、普通に考えて」
セロは斜め上を見て頬をかく。
すると冷静に観察していたミザロが口を開いた。
「ですがセロさん。彼は魔界由来の魔獣ですよね? あなたの師匠は人間なのでは?」
「そ、そうだけど。なに? 人間が魔獣持っちゃいけないわけ? あの人の力なら魔界ぐらい来たことあんだろ、知らねーけど」
彼の口ぶりはいつもに増して怪しかった。
この獣に何か秘密があるのだろうか。
「ふふふ……あなたよりもあなたの師のほうが興味湧いてきましたよ。誰なんですかねえ、本当の主人は……」
「そうですね……毛玉さん、話してはくれませんか」
あなたが赤髪の男にもう一度目を合わせると、彼はにっこりと笑い、上機嫌に口元を緩める。
「俺はナザルだ。。お前が一対一で会ってくれるっつうなら、いろんなことを話してやるよ」
初めて名を告げた彼は、一瞬だけあなたの心を動かしそうになる。
それが本当なら迷うが、一対一は嫌だった。
そしてルドガーも黙ってはいない。
「おい、獣。お前は本気なのか?」
「何がだよ。お前も獣だろうが」
「俺の番を本気で狙っているなら、決闘をするか」
……えっ?
ずっと敵をじりじりと見つめていたルドガーは、もうそんなところまで考えるに至っていたのだ。
「ちょっ、ルドガー? 決闘なんてダメだよ。やめてねそんなの」
「なぜだ。俺は我慢ならない。ずっとお前にちょっかいをかけられ、俺達を侮辱されて……こいつは消し去るべき存在だ。」
金色の瞳はあなたをじっと映す。
闘争心に燃えるというよりも、あなたを守るという純粋で透明な色だ。
そこには彼のわずかな焦燥も漂っていた。
あなたは迷わずルドガーを抱きしめる。
腕が簡単には回らない大きな体を、ぎゅうっと包み込むように。